株式会社ジェイテックコーポレーションの業績を有価証券報告書から分析2024-09-30

相対年度 4期前 3期前 2期前 前期 当期 前期比(%)
項目名            
PBR 5.51 3.51 -36.4
PER(株価収益率) 57.41 47.43 -17.4
ROA(総資産利益率) 6.90 5.59 -18.8
ROE(自己資本利益率) -1.39 10.10 7.69 -23.8
売上高利益率 12.5 9.89 -20.8
純利益 238百万円 200百万円 -16.2
売上高 1,151百万円 1,908百万円 2,010百万円 5.3
純資産 822百万円 2,479百万円 2,697百万円 8.8
総資産 3,382百万円 3,227百万円 3,465百万円 3,568百万円 3.0

株価の割安性:割高

この企業は、PERが47.43倍PBRが3.51倍と市場平均を大きく上回り、割高と判断されます。割高の要因としては、オプティカル事業やライフサイエンス・機器開発事業における独自技術の強み、特に高精度なナノ加工技術や再生医療分野での先進的な取り組みが挙げられます。また、国内外の放射光施設や半導体市場での需要拡大が期待されており、これが投資家からの高評価につながっていると考えられます。

収益性:平均的

当期のROEは7.69%、ROAは5.59%、売上高利益率は9.89%です。これらの数値を基に収益性を評価すると、ROEは10%を下回っているため「平均的」と評価できますが、ROAは5%を上回っているため「高い」と評価できます。売上高利益率も9.89%と比較的高い水準です。

収益性が平均的から高い水準にある要因として、売上高が前期比5.3%増加し、特にオプティカル事業が堅調に推移していることが挙げられます。オプティカル事業では、国内外の放射光施設やX線自由電子レーザー施設向けの高精度ミラーの需要が高まっており、技術的優位性を保持しています。また、ライフサイエンス・機器開発事業やその他事業も一定の売上を確保しており、全体的な売上増加に寄与しています。

業績のトレンド:不調

この企業の業績トレンドは「不調」と判断されます。売上高は前期比5.3%増加し、成長を見せていますが、純利益は16.2%減少し、ROAやROEも大幅に低下しています。特に、ROEは前期の10.10%から当期の7.69%に低下しており、自己資本利益率の低下が見られます。また、売上高利益率も20.8%減少しており、利益率の低下が顕著です。

要因としては、ライフサイエンス・機器開発事業のセグメント損失が挙げられます。このセグメントは前期のセグメント利益1,533千円から当期は25,659千円の損失に転じています。また、営業活動によるキャッシュ・フローの減少も影響しており、前期の210,359千円から当期は62,651千円に大幅に減少しています。これらの要因が総合的に業績の不調に寄与しています。

株式会社ジェイテックコーポレーションの概要や事業内容など

企業名 株式会社ジェイテックコーポレーション
URL https://www.j-tec.co.jp/
業種 金属製品
決算日 6月末日

企業概要

株式会社ジェイテックコーポレーションは、オンリーワンの技術を駆使して製品を開発し、社会に貢献することを経営理念としています。主に「オプティカル事業」、「ライフサイエンス・機器開発事業」及び「その他事業(電子科学株式会社を含む)」の3つの事業を展開しています。オプティカル事業では、国内外の先端的な放射光施設やX線自由電子レーザー施設で使用される超高精度のX線ミラーを製造・販売しています。ライフサイエンス・機器開発事業では、創薬スクリーニングや再生医療分野に関連する自動細胞培養装置を開発・販売しています。その他事業では、子会社の電子科学株式会社が昇温脱離分析装置(TDS)を製造・販売しています。これらの事業を通じて、科学技術イノベーションの創出に貢献する製品開発を推進しています。

事業内容

オプティカル事業では、兵庫県にある大型放射光施設「SPring-8」やX線自由電子レーザー施設「SACLA」などで使用される超高精度のX線ミラーを製造・販売しています。これらのミラーは、反射表面の形状精度が1ナノメートル以下であり、国内外の国立研究機関や大学の研究者から高い評価を得ています。近年、国内外での放射光施設の新設やアップグレードが進む中、需要が拡大しています。

ライフサイエンス・機器開発事業では、創薬スクリーニングに関連する自動細胞培養装置「CellMeister®」や「MakCell®」を製造・販売しています。また、再生医療分野においては、独自の3次元浮遊培養技術「CELLFLOAT®」を用いた製品開発を進めています。さらに、半導体や宇宙分野で使用される光学部品の開発も行っており、ナノメートルレベルの表面形状精度を実現する技術を提供しています。

その他事業では、子会社の電子科学株式会社が昇温脱離分析装置(TDS)を製造・販売しています。この装置は、超高真空環境で試料を加熱し、放出される成分を高感度でリアルタイムに検出するもので、半導体や液晶、カラーフィルター業界で高い評価を得ています。最近では、日本企業からの受注も増加しており、今後も市場拡大が見込まれています。