2024年6月7日現在、NTTの株価が大きく下落しており話題となっているため、直近の決算内容について改めて要約してみました。
連結経営成績
2023年度のNTTグループの連結経営成績は、営業収益が13兆3,746億円(前年比 1.8% 増)、営業利益が1兆9,229億円(前年比 5.1% 増)、税引前利益が1兆9,805億円(前年比 9.0% 増)、当期利益が1兆2,795億円(前年比 5.5% 増)となりました。
事業セグメントの業績
総合ICT事業
総合ICT事業は、携帯電話事業、国内電気通信事業、国際通信事業、ソリューション事業、システム開発事業を主な内容としています。2023年度の営業収益は6兆1,400億円(前年比 1.3% 増)、営業利益は1兆1,444億円(前年比 4.6% 増)でした。
地域通信事業
地域通信事業は、国内電気通信事業の県内通信サービスを提供しています。2023年度の営業収益は3兆1,832億円(前年比 0.2% 増)、営業利益は4,377億円(前年比 4.1% 増)となりました。
グローバル・ソリューション事業
グローバル・ソリューション事業は、システムインテグレーション、クラウド、データセンターなどを提供しています。2023年度の営業収益は4兆3,674億円(前年比 6.7% 増)、営業利益は3,096億円(前年比 16.5% 増)でした。
その他(不動産、エネルギー等)
不動産事業、エネルギー事業などが含まれています。2023年度の営業収益は1兆6,329億円(前年比 9.6% 減)、営業利益は598億円(前年比 11.0% 減)となりました。
業績の数値
項目 | 2022年度 | 2023年度 | 前期比 |
---|---|---|---|
営業収益 (百万円) | 13,136,194 | 13,374,569 | +1.8% |
営業利益 (百万円) | 1,828,986 | 1,922,910 | +5.1% |
税引前利益 (百万円) | 1,817,679 | 1,980,457 | +9.0% |
当期利益 (百万円) | 1,213,116 | 1,279,521 | +5.5% |
基本的1株当たり当期利益 (円) | 13.92 | 15.09 | +8.4% |
リスクについて
NTTグループは、サイバー攻撃の高度化や複雑化に伴う情報セキュリティ強化の必要性、災害対策の強化、環境保護への取り組みが求められています。これらのリスクは、事業運営や経営成績に影響を与える可能性があるため、投資家としてはこれらの点に注意を払う必要があります。
今後の見通し
2024年度の見通しは、以下のように予測されています:
- 営業収益:13兆4,600億円(前年比0.6%増)
- 営業利益:1兆8,100億円(前年比5.9%減)
- 税引前利益:1兆7,200億円(前年比13.2%減)
- 当期利益:1兆1,000億円(前年比14.0%減)
この見通しが横ばいからやや減少となっている理由は以下の通りです:
- 主要事業の成長鈍化:総合ICT事業および地域通信事業の成長が鈍化しています。
- その他事業の減益:不動産事業やエネルギー事業が減益となっています。
- 競争激化とコスト増:通信業界全体での競争激化により価格競争が激しくなり、5Gインフラの整備や新規事業への投資が続くため、コストが増加しています。
全体のまとめ
NTTグループの2023年度の業績は総じて好調でした。主要事業のICT事業、地域通信事業、グローバル・ソリューション事業で増収増益を達成しましたが、その他事業は減収減益となりました。特に、グローバル・ソリューション事業が大きく成長しており、将来的な成長が期待されます。
今後の見通しとして、2024年度の連結業績予想は営業収益が13兆4,600億円、営業利益が1兆8,100億円、当期利益が1兆1,000億円と予想されています。これは、全体として横ばいからやや減少傾向を示しています。引き続き、リスク管理と成長戦略の両立が求められます。
アナリストとしての評価は、現状の業績は好調であるものの、一部事業の不調が全体に影響を与えているため、注意深く見守る必要があると考えます。
金融機関の資産運用部門においてクオンツとしてのキャリアを約5年間積んだ後、現在はデータ分析に特化した受託会社に勤めています。
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