第一カッター興業株式会社の業績を有価証券報告書から分析2024-09-30

相対年度 4期前 3期前 2期前 前期 当期 前期比(%)
項目名            
PBR 0.98 0.99 0.6
PER(株価収益率) 9.0 8.69 9.30 8.30 9.19 10.8
ROA(総資産利益率) 9.5 9.0 -5.3
ROE(自己資本利益率) 13.5 13.60 11.0 12.30 11.30 -8.1
売上高利益率 9.30 9.39 1.1
純利益 2,052百万円 1,976百万円 -3.7
売上高 17,440百万円 19,338百万円 20,949百万円 22,164百万円 20,918百万円 -5.6
純資産 470百万円 17,234百万円 18,285百万円 6.1
総資産 15,534百万円 17,992百万円 19,408百万円 21,566百万円 21,859百万円 1.4

株価の割安性:平均的

この企業のPERは9.19倍、PBRは0.99倍であり、いずれも市場平均に近い値を示しています。これにより、株価は平均的と判断されます。要因として、売上高や純利益が減少している一方で、ROEやROAが比較的安定していることが挙げられます。また、ビルメンテナンス事業やリユース・リサイクル事業の利益が減少していることも影響しています。全体として、業績は安定しているものの、特定の事業セグメントでの課題が株価に反映されていると考えられます。

収益性:平均的

当期のROEは11.3%、ROAは9.0%、売上高利益率は9.39%です。これらの数値を基に収益性を評価すると、ROEは10%を超えており「高い」と評価できますが、ROAは5%を大きく上回っているため「高い」と評価できます。売上高利益率も9.39%と高めです。

収益性が高い要因として、以下の点が挙げられます。まず、切断・穿孔工事事業の完成工事高が増加し、特に高速道路リニューアル工事や民間工事の受注が堅調に推移したことが大きな要因です。また、ビルメンテナンス事業も新規案件の開拓により売上が増加しています。これらの事業の成長が収益性の向上に寄与しています。

一方で、リユース・リサイクル事業の売上が大幅に減少したことが全体の売上高に影響を与えています。これにより、収益性の評価は「平均的」となります。

業績のトレンド:不調

この企業の業績トレンドは「不調」と判断されます。売上高は前期比5.6%減少し、20,918百万円となっています。純利益も前期比3.7%減少し、1,976百万円となっています。ROAやROEもそれぞれ前期比で低下しており、特にROEは12.3%から11.3%に減少しています。これらの指標から、全体的な業績が低迷していることがわかります。

要因としては、連結子会社の範囲から外れた影響が大きいと考えられます。特にリユース・リサイクル事業の売上高が前年同期比82.6%減少しており、これが全体の売上高減少に寄与しています。また、建設資材やエネルギー価格の高騰、労務需給の逼迫も企業収益に悪影響を与えている可能性があります。

第一カッター興業株式会社の概要や事業内容など

企業名 第一カッター興業株式会社
URL https://www.daiichi-cutter.co.jp/
業種 建設業
決算日 6月30日

企業概要

第一カッター興業株式会社は、切断・穿孔工事事業、ビルメンテナンス事業、リユース・リサイクル事業を展開する企業グループです。連結子会社として株式会社ウォールカッティング工業、株式会社新伸興業、株式会社アシレ、株式会社ユニペックを持ち、持分法適用関連会社としてダイヤモンド機工株式会社、株式会社ムーバブルトレードネットワークスがあります。主要な経営指標として、売上高は2024年6月期で20,918百万円、経常利益は2,829百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,973百万円となっています。従業員数は629名で、自己資本比率は83.1%です。企業の基本方針として、施工における品質管理、安全管理、工程管理及び研究開発を重視し、環境に配慮した工法を採用することで市場競争力を強化し、安定した企業発展を目指しています。

事業内容

第一カッター興業株式会社の事業は以下の3つのセグメントに分かれています。

切断・穿孔工事事業:道路やコンクリート構造物の解体・撤去に必要な切断工事、穿孔工事を行います。工業用ダイヤモンドを使用したダイヤモンド工法や水圧を利用したウォータージェット工法を中心に展開しており、主に東日本、東海地方、沖縄県、関東地方、近畿地方、九州地方に営業基盤を持っています。工事の種類としては、土木工事、建築関連工事、都市土木工事、道路・空港工事、生産設備メンテナンスがあり、公共事業関連工事が大半を占めています。

ビルメンテナンス事業:集合住宅やオフィスビルの給排水設備の保守点検、貯水槽清掃、雑排水管清掃業務を行います。具体的には、排水管清掃、貯水槽清掃、給水設備点検、床清掃、ファイバースコープ調査、機械式ピット清掃などを通じて、ビルの円滑な運営に貢献しています。

リユース・リサイクル事業:一般企業からタブレット、パソコン、サーバー、液晶ディスプレイ等の中古IT関連機器・OA機器を仕入れ、データ消去及び補修・改修を行った後、主に法人に対して販売しています。また、IT関連機器のデータ消去サービスやOA機器のオフィス設置サービスも提供しています。この事業は株式会社ムーバブルトレードネットワークスが担当しています。

これらの事業を通じて、第一カッター興業株式会社は多様なニーズに対応し、社会に貢献することを目指しています。