元クオンツが教える!日本株と米国株の違いとは?

株式投資を始めるにあたり、日本株と米国株の違いを理解することは重要です。元クオンツの視点から、それぞれの市場の特徴と、それに基づく投資戦略の考え方についてご紹介します。

日本株の特徴

最初に結論を言うと、日本株はPER・PBRなどの主要な財務指標に対して素直に株価が動きやすいため、財務分析による投資判断が向いていると考えられます。

PER・PBRとリターンの相関性

日本株市場では、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が将来リターンと強い相関を持つことが報告されています。特にPBRが1倍未満の企業に対する投資は、企業の資本効率改善の取り組みと相まって、株価の上昇につながることが多いです。東京証券取引所はPBR1倍以上を目指す企業に対する改革を推進しており、これが投資家の関心を引きつけています。

noteに投稿している通り、個人的に日本株の1年後リターンを予測する機械学習モデルを作っており、その過程でPER・PBRと1年後株価リターンとの相関を確認したのですが、PBRは0.15、PERは0.1となっていました。金融市場において将来リターンとの相関が0.1を超える指標は珍しいです。

参考: TSE Cash Markets

参考: 日経新聞:東証がPBR改革企業を公表 ポイントは?

アクティビスト投資家の影響

アクティビスト投資家の活動も増加しており、企業価値の向上を求める圧力が株価にプラスの影響を与えています。これにより、日本企業は資本効率の改善や配当の増加などの取り組みを進めています。

参考: 大和総研:アクティビスト投資家の近時動向

米国株の特徴

最初に結論を書くと、米国株は日本株と比べて財務指標と株価の関連性が低く、財務分析による投資判断が難しいことが多いです。国の経済状況やトレンドなど、他の要因で株価が大きく動きやすくなっています。そのため、S&P500やNASDAQ100などのETFの方が投資しやすい印象があります。

PER・PBRとリターンの相関性

米国株市場では、PERやPBRが将来リターンに与える影響は限定的です。PERが低い場合には長期的なリターンが高くなる傾向がありますが、その相関は一貫して強いものではありません。特に、PERが中程度の範囲(14~18)の場合、リターンに対する予測力は低いとされています。

米国株についても同様に、個人的にPER・PBRと将来リターンの相関を確認したことがあるのですが、日本株と比べるとかなり0に近い値となっており、低い相関となっていました。

参考: My Money Blog, CFA Institute Enterprising Investor

収益成長と株価リターンの関係

企業の収益成長と株価リターンの相関も非常に低く、他のファクター(例:市場のセンチメントやマクロ経済指標)がリターンに強く影響することが多いとされています。

それぞれのメリット・デメリット

日本株のメリット・デメリット

日本株のメリットは、PERやPBRといった指標が将来リターンの予測において有用である点です。また、アクティビスト投資家の活動による企業価値の向上も期待できます。一方、デメリットとしては、米国株に比べて市場の流動性が低い点や、国際的な注目度が相対的に低い点が挙げられます。

米国株のメリット・デメリット

米国株のメリットは、世界最大の市場であり、流動性が高く、多様な投資機会が存在する点です。また、テクノロジー企業など高成長企業が多いことも魅力です。しかし、PERやPBRがリターンの予測において限定的であるため、他の要因を考慮する必要があります。

まとめ

日本株と米国株はそれぞれ異なる特徴を持ち、投資戦略も異なります。日本株ではPERやPBRが有用な指標となり得ますが、米国株では他のファクターを重視する必要があります。投資家は、これらの違いを理解し、自身の投資目的やリスク許容度に応じた戦略を立てることが重要です。