グリー株式会社の業績を有価証券報告書から分析2024-09-30

相対年度 4期前 3期前 2期前 前期 当期 前期比(%)
項目名            
PBR 1.18 0.94 -20.2
PER(株価収益率) 39.18 9.56 15.10 11.80 19.67 66.7
ROA(総資産利益率) 7.40 3.59 -51.4
ROE(自己資本利益率) 2.40 11.60 9.60 10.19 5.0 -51.0
売上高利益率 12.30 7.5 -39.0
純利益 9,277百万円 4,585百万円 -50.6
売上高 62,665百万円 63,210百万円 74,906百万円 75,440百万円 61,309百万円 -18.7
純資産 100百万円 92,549百万円 95,530百万円 3.2
総資産 126,492百万円 141,389百万円 116,730百万円 124,806百万円 128,788百万円 3.2

株価の割安性:割高

この企業のPERは19.67倍で市場平均の15倍を上回り、PBRは0.94倍で市場平均の1倍を下回っています。PERが高いことから、株価は割高と判断されます。割高の要因としては、メタバース事業の成長期待DX事業の堅調な推移が挙げられます。一方で、売上高や純利益の減少、ROEやROAの低下が見られ、これがPBRの低下に寄与しています。結論として、成長期待が株価を押し上げているものの、業績の低迷が割安感をもたらしているため、総合的には割高と見られます。

収益性:低い

当期のROEは5.0%、ROAは3.59%、売上高利益率は7.5%です。これらの数値を基に収益性を評価すると、ROEとROAはそれぞれ10%と5%を目安にすると低いと判断できます。売上高利益率も7.5%と低めです。

収益性が低い要因として、以下の点が考えられます。まず、売上高が前期比18.7%減少しており、特にゲーム・アニメ事業の売上が16.4%減少したことが大きな影響を与えています。また、経常利益も45.6%減少しており、純利益も50.6%減少しています。これにより、ROEとROAが大幅に低下しました。さらに、メタバース事業やDX事業への積極的な投資が続いているため、コストが増加し、利益率が低下していることも要因と考えられます。

業績のトレンド:不調

この企業の業績トレンドは「不調」と判断されます。売上高は前期比18.7%減少し、61,309百万円となっています。純利益も50.6%減少し、4,585百万円に落ち込んでいます。ROAやROEも大幅に低下しており、特にROEは前期の10.19%から当期の5.0%に急落しています。売上高利益率も39%減少しており、利益率の低下が顕著です。

要因としては、ゲーム・アニメ事業の新規タイトルのリリースがなく軟調に推移したことや、投資事業における保有株式の売却収益が減少したことが挙げられます。また、メタバース事業やDX事業は堅調に推移しているものの、全体の業績をカバーするには至っていません。

グリー株式会社の概要や事業内容など

企業名 グリー株式会社
URL https://corp.gree.net/jp/ja/
業種 情報・通信業
決算日 6月30日

企業概要

当社グループは、当社及び当社の連結子会社26社の計27社で構成され、ゲーム・アニメ事業、メタバース事業、DX事業、コマース事業、投資事業を展開しております。「インターネットを通じて、世界をより良くする。」をミッションとして掲げ、インターネットの新たな可能性を開拓することを通じて、世の中に新しい価値を提供し続けていくことを目指しております。主要な経営指標としては、売上高及び営業利益を重視しており、これらを支える営業上の指標としてユーザー数やユーザー当たり売上高等を重視しています。2024年6月期の連結売上高は61,309百万円で、前年同期比18.7%減少しました。営業利益は5,981百万円で、同52.1%減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益は4,630百万円で、同50.1%減少しました。従業員数は1,580名で、平均臨時雇用者数は1,032名です。

事業内容

当社グループの事業は以下の5つのセグメントに分かれています。

(1) ゲーム・アニメ事業: 当社及び連結子会社であるWFS、ポケラボ、グリーエンターテインメントがスマートフォンゲームの運営・開発を行い、多数の人気タイトルを国内外で配信しています。また、アニメ製作委員会への参加や原作の開発を行い、長期にわたって愛されるIPの創出・開発・プロデュースを行っています。

(2) メタバース事業: スマートフォン向けメタバース「REALITY」の開発・運営やVTuber事務所の運営を行っています。収益力の強化と成長に向けた投資を継続し、国内ライブ配信市場でのシェア拡大及びグローバルでの収益力の強化を目指しています。

(3) DX事業: マーケティング領域を中心としたクライアント企業のDX支援に取り組んでいます。SaaSソリューション等の開発・提供を推進し、リカーリング型収益による継続的な成長を目指しています。

(4) コマース事業: おでかけ情報メディア「aumo」を中心としたメディア事業のほか、SaaS事業、デジタルギフト事業を展開しています。次年度よりDX事業へ統合予定です。

(5) 投資事業: 「ファンド投資」「スタートアップ投資」を通じて、日本国内ならびに海外のインターネット・IT領域を中心に投資し、ITによるイノベーションに貢献し、新たな価値創造に取り組んでいます。

これらの事業を通じて、当社グループは新たな収益源の確保を重要課題として認識し、各事業の強化と成長を目指しています。