株式会社アイ・ピー・エスの業績を有価証券報告書から分析2024-09-26

株価の割安性:平均的

この企業のPERは11.5倍、PBRは1.0倍であり、市場平均と比較して平均的と判断されます。PERが15倍を下回り、PBRが1倍であることから、株価は適正範囲内にあると見られます。要因として、売上高が前期比10.5%増加し、経常利益も8.7%増加していることが挙げられます。また、SAP ERPの導入支援事業が堅調であり、特に中堅企業向けの市場でのシェアが高いことが企業の安定した収益性を支えています。

収益性:高い

当期のROEは16.5%、ROAは8.7%、売上高利益率は7.2%です。これらの数値を基に収益性を評価すると、収益性は高いと判断できます。ROEは10%を大きく超え、ROAも5%を上回っており、売上高利益率も健全な水準です。

収益性が高い要因として、以下の点が挙げられます。まず、売上高が前期比10.5%増加しており、特にERP導入事業が28.8%増加したことが大きく貢献しています。ERP導入事業の成長は、SAPパブリッククラウドの普及やDX技術の活用によるIT投資需要の増加が背景にあります。また、同社はSAPジャパンのプラチナパートナーとして高い技術力と信頼性を持ち、顧客のビジネス革新を支援することで高い付加価値を提供しています。

さらに、営業活動によるキャッシュ・フローが安定しており、財務活動によるキャッシュ・フローも健全です。これらの戦略的取り組みが、収益性の高さを支えています。

業績のトレンド:好調

この企業の業績トレンドは「好調」と判断されます。売上高は前期比10.5%増加し、31億29百万円に達しています。営業利益は8.4%増加し、3億28百万円、経常利益は8.7%増加し、3億26百万円となっています。親会社株主に帰属する当期純利益も6.4%増加し、2億26百万円となりました。

要因としては、ERP導入事業の売上が前期比28.8%増加し、23億56百万円に達したことが大きく寄与しています。また、新規事業としてAIを活用した需要予測や業務品質向上を実現するためのスマート工場化の支援も進めており、これが売上増加に貢献しています。さらに、中堅成長企業のためのDXフォーラムの開催やWebセミナー、オンライン個別相談会などの積極的な営業活動も業績向上に寄与しています。

株式会社アイ・ピー・エスの概要や事業内容など

企業名 株式会社アイ・ピー・エス
URL https://ipsism.co.jp/ja/
業種 情報・通信業
決算日 6月末日

企業概要

当社グループは、当社並びに連結子会社1社、非連結子会社1社、関連会社1社で構成されており、主に販売、物流、購買、会計等の基幹業務機能をコンピュータソフトウェアの機能上に統合するERP(Enterprise Resource Planning)用パッケージソフトウェアの導入及び保守を主たる業務としています。その他の関係会社である有限会社ファウンテンは持株会社であり、当社グループと営業上の取引はありません。連結子会社としては、株式会社ワン・ハーモニー アドバイザリーがあり、情報システム開発コンサルティングを行っています。従業員数は2024年6月30日現在で147名であり、ERP導入事業に102名、保守その他事業に34名、全社共通で11名が従事しています。管理職に占める女性労働者の割合は20%です。

事業内容

当社グループの事業はERP導入事業保守その他事業の二つに大別されます。ERP導入事業では、ドイツに本社を持つSAP SE社の代表的製品であるSAP ERPの導入支援サービスを提供しています。SAP ERPは日本の大手・準大手・中堅企業において圧倒的なシェアを持ち、当社はSAPジャパン株式会社のプラチナパートナーとして、年商100億円~2,000億円の中堅及び準大手企業向けに特化した導入ビジネスを展開しています。また、EasyOneテンプレートを確立し、SAPの新たなソリューションを組み込みながら成長を続けています。保守その他事業では、既にSAP ERPを導入した顧客に対し、保守運用やバージョンアップサービスを提供しています。これにより、顧客が自律的にITを活用できる組織を築く支援を行っています。さらに、当社グループは、SAP ERPの新バージョンの機能検証や独自の開発商品の研究開発も行っています。