総員玉砕せよ! 新装完全版 (講談社文庫)
- 太平洋戦争に従軍した漫画家・水木しげるが、自身の実体験をもとに描いた戦記漫画。圧倒的劣勢の中で決断された玉砕と、兵士たちの過酷な運命を静かに訴える新装完全版。
- 没後に見つかった構想ノートを特別収録。戦争の恐ろしさと無意味さをえぐり出し、未来へと伝えるために残された魂の決意が胸に響く、貴重な内容が詰まった一冊。
- 戦争をテーマにした漫画作品であり、水木しげる氏の実体験を基に描かれている。
- コミカルに見える描写と、戦場の過酷な実態のギャップが印象的。
- 多くの読者が「現在にも通じる社会の構造への警鐘」として評価している。
- 一方で絵柄や登場人物の見分けにくさを指摘する声も一部に見られる。
- 戦争の悲惨さや理不尽さを改めて考えたい人におすすめ。
総員玉砕せよ! 新装完全版 (講談社文庫)について
水木しげる氏が太平洋戦争の実体験をもとに描いた戦記漫画として知られる『総員玉砕せよ!』。本書はその新装完全版であり、没後に発見された構想ノートの特別収録により、作品の背景や作者の思いを深く知ることができます。舞台は太平洋戦争末期、南方のニューブリテン島バイエンを中心に、兵士たちの玉砕に至る悲惨な状況が克明に描かれています。戦争の「傍観者」ではなく、「当事者」として体験した水木氏だからこそ表現できる迫力やリアリティが大きな特徴といえるでしょう。
しかし、単純に陰鬱な戦記ものというわけではありません。水木しげる氏独特のコミカルなタッチが随所に盛り込まれており、むしろそのユーモラスな雰囲気と極限の戦場との落差が、当時の兵士たちが置かれていた状況の残酷さを際立たせています。戦争とは何か、命とは何かを改めて考えるうえでも、非常に示唆に富んだ作品といえるでしょう。
総員玉砕せよ! 新装完全版のポジティブな意見や口コミについて
本作のポジティブな意見としては、まず戦争の理不尽さと社会構造の問題を鋭く映し出している点を評価する声が多く挙げられています。戦争は過去のものと思われがちですが、上官や組織、集団心理などによる誤った意思決定が生む悲劇は、現代にも通じる深刻なテーマです。ある読者は「当時の日本軍だけでなく、現代社会でも同様の構造が見られる」という感想を述べ、まさにこの作品が普遍性を持つことを証明しています。
また、作者が実際に片腕を失った経験を持ち、それを包み隠さず作品に反映させていることが、読者に強いインパクトを与えています。戦時下の悲惨さや残酷さを描きながらも、作品全体に漂うどこか飄々とした雰囲気は「水木作品ならでは」と評価されるポイントであり、「重い内容を読みやすく、しかし軽くはならない絶妙なバランスがある」という声も多く見られます。
さらに、巻末に特別収録された構想ノートは、ファンのみならず歴史研究的な側面からも注目されています。水木氏がどのような思いで作品を作り上げていったのか、その創作過程を垣間見ることができるため、「歴史を学ぶ資料としても貴重だ」との意見もあります。
総員玉砕せよ! 新装完全版のやばい噂や悪い評判・口コミについて
著者が体験した戦争の惨状を描いている作品ということもあり、ドラマ性やリアリティに大きな評価が寄せられる反面、ごく一部には否定的な意見も存在します。多くは内容そのものを「好みではない」とする主観的な感想や、「登場人物が多くて見分けがつきにくい」「主人公が不在のため物語に入り込みにくい」という指摘です。絵柄の特徴が強い水木作品ならではの難しさを感じる読者もいるようです。
また、既に別の戦記漫画『ラバウル戦記』を読んでいる人からは、「こちらの作品は叙事的で登場人物も多く感情移入しにくい」という声があります。実体験に基づきつつも創作的な脚色がある点や、あえて大局的な視点で描いている点が、読者によっては「物語に入り込むよりも資料を眺めている感覚」に近いと感じることもあるようです。
とはいえ、大規模なスキャンダルや「これは買わない方がいい」といった致命的な悪評は見当たらないのも事実です。物語のスタイルや絵柄への好みが分かれることはあるものの、戦争体験を正面から描いた作品としての価値は広く認められています。
総員玉砕せよ! 新装完全版はどんな人におすすめ?
まず、歴史や戦争の実態を知りたい人にとっては必読ともいえる作品です。特に水木しげる氏は自身が前線に立った兵士として腕を失うなどの大きな苦労を背負いながらも、絵を描き続けた漫画家です。そのリアリティは他の戦記物とは一味違う説得力があります。
次に、若い世代にとっても非常に意義深い内容です。今の日本社会は戦争の悲惨さを体験として知る人が少なくなってきていますが、この作品を通して過去の事実を学ぶことができるでしょう。また、戦場での恐怖や絶望感だけでなく、「飄々としながらも過酷な運命に巻き込まれていく兵士たち」という人間味のあるエピソードは、多くの人の心に訴えるものがあります。
さらに、社会や組織の構造に興味がある方にもおすすめです。戦争を描きながらも、集団心理や上官と兵士の圧倒的な上下関係など、現代社会でも通じるテーマが鮮明に表現されています。単なる戦争体験記という枠を超えて、人間社会を浮き彫りにする力を持つ作品と言えます。
まとめ
『総員玉砕せよ! 新装完全版』は、水木しげる氏が太平洋戦争での体験をベースに、新装版として新たに編集した貴重な戦記漫画です。コミカルさと悲惨さのギャップが印象的でありながらも、昔話にとどまらない社会の問題点を突きつける内容で、多くの読者から圧倒的な支持を得ています。一方で、登場人物の見分けにくさや叙事的な描写のため、入り込みづらいとする声も一部に見られます。
ただし、「やばい噂」や大きなトラブルは特に報告されておらず、作品としての評価は総じて高い傾向です。歴史や戦争について学びたい方、漫画を通して社会の構造を考えたい方、そして水木しげる氏のファンはもちろん、そうでない方にも多くの示唆を与える一冊と言えるでしょう。
今から読んでも決して色あせない内容とテーマを持ち、特別収録の構想ノートによって作者の思いをより深く理解できる本書は、戦争について考える大切なきっかけになるはずです。ぜひ手に取って、そのメッセージを味わってみてください。
総員玉砕せよ! 新装完全版 (講談社文庫)
- 太平洋戦争に従軍した漫画家・水木しげるが、自身の実体験をもとに描いた戦記漫画。圧倒的劣勢の中で決断された玉砕と、兵士たちの過酷な運命を静かに訴える新装完全版。
- 没後に見つかった構想ノートを特別収録。戦争の恐ろしさと無意味さをえぐり出し、未来へと伝えるために残された魂の決意が胸に響く、貴重な内容が詰まった一冊。
コメント