聖徳太子 本当は何がすごいのか
- なぜ「厩戸王」と呼んではいけないのか。史学界の不在説に対し、美術史をはじめとする多方面の論拠を示し、聖徳太子が実在したことを証明する一冊。
- 十七条憲法や冠位十二階を定め、中国と対等の外交を展開した聖徳太子。その思想と信仰がどのように日本人の基礎を築き、今なお息づくのかを優しく解説する。
- 本書「聖徳太子 本当は何がすごいのか」は、聖徳太子の実在をめぐる論争を中心に、歴史資料や美術史の観点から様々な証拠を示し、通説を再検証している。
- 十七条憲法、冠位十二階、法隆寺など、聖徳太子の功績とされる事柄を批判的に見直しつつ、「太子不在説」を徹底的に論破する内容が展開されている。
- 肯定的な意見としては、「日本人にとって重要な思想」を詳しく解説している点や、美術史の知見を活用した新たな切り口が高く評価されている。
- 一方で、文章の難しさや、既存の文献批判に対する著者の姿勢などに疑問の声もあり、読みづらいという指摘も見られる。
- 総じて、「太子の実在を重視する人」「日本史の根幹を知りたい人」には大きな示唆を与えるが、歴史の専門書に慣れていない人には取っつきにくい部分もある、という評価がうかがえる。
「聖徳太子 本当は何がすごいのか」について
この本では、文部科学省が「聖徳太子」という呼称を「厩戸王」に変更しようとした学習指導要領の改定案がなぜ多くの批判を受けたのか、また「聖徳太子不在説」の根拠がどのように提示され、それに対して著者がどのように反論しているのかを詳しく解説しています。
著者は歴史学だけでなく美術史上の分析や考古学、宗教史の観点からも「太子不在説」には根拠がないと主張し、逆に実在を示す証拠として法隆寺などの年代測定結果を紹介しています。
特に「十七条憲法」や「和を以て貴しと為す」という考え方が、現代社会にもつながる思想であることを強調。さらに摂政として推古天皇を支え、天皇の権威と政治実務を分ける日本独特の政治体制を確立した点を大きく評価しています。
「聖徳太子 本当は何がすごいのか」のポジティブな意見や口コミについて
多くの肯定的なレビューでは以下のような点が評価されています。
- 仏教や建築史といった切り口から、聖徳太子に関する実在証拠を整理している。
- 歴史を論じる際、一次史料や二次史料のみならず、法隆寺五重塔や釈迦三尊像など実物の美術品を通じて検証している。
- 「和の精神」や「人間はみな凡夫である」という十七条憲法の思想面に注目し、個人主義が叫ばれる現代への警鐘を鳴らしている。
- 隋との対等な外交や天皇の権威と政治権力の分離など、いまにつながる日本の政治文化の源流を明快に示している。
- 「天皇」という存在のあり方や「神仏習合」の思想など、日本固有の文化的背景も本書を通じて再認識できる。
一部の読者は、「暗殺事件などを見届けた聖徳太子が、あえて天皇の位を辞退した理由を深く掘り下げているのがおもしろい」と述べています。
また、著者独特の視点によって解説される思想の広がりが、「西欧の個人主義だけが正解ではない」と考える読者層から好評を得ている印象です。
「聖徳太子 本当は何がすごいのか」のやばい噂や悪い評判・口コミについて
一方で本書には、否定的な意見や批判もいくつか存在します。特に目立つのは以下のようなものです。
- 文章が全体的に読みづらく、学術的なカラーが強いために読者を選ぶ。
- 他の文献批判も著者独自の理屈でまとめられており、否定のための否定に終始している部分がある。
- 新説の提示としては面白いが、著者自身の主張が強く出すぎて、バランスを欠いているように感じる。
さらに聖徳太子「不在説」を唱える歴史学界の立場を取りあげる際、著者がかなり強い調子でイデオロギー的批判を展開しているため、それに反発を抱く読者もいるようです。「理屈は分かるが、一方的な決めつけではないか」という反論は少なくありません。
もっとも、「不在説」を批判する上で、根拠となる建築史の知見や、『日本書紀』に対する分析を読み解く面白さを評価する向きもありますが、否定論への対抗が強烈なため、読者によっては違和感を覚えるという声もあるようです。
「聖徳太子 本当は何がすごいのか」はどんな人におすすめ？
本書は、日本古代史や仏教美術、さらには思想史に興味がある方には非常に有益な一冊といえます。
- 聖徳太子が定めた十七条憲法の思想を深く理解したい方
- 従来の歴史学説だけでなく、美術史・仏教史の視点から古代史を読み解きたい方
- 「天皇」と「政治権力」の分離構造など、日本の社会制度や文化的特色を知りたい方
- 聖徳太子に対して興味があるものの、これまで否定的な見解しか見聞きしたことがなかった方
歴史に対する疑問や「不在説」に対する違和感を持っている読者にとっては、強い説得力をもって迎えられるでしょう。一方、一般的な読み物としてはやや専門性が高いため、歴史小説やライトな入門書を求める人には取っ付きにくいかもしれません。
まとめ
「聖徳太子 本当は何がすごいのか」は、長く議論されてきた聖徳太子の実在性問題に対して、著者が美術史や考古学など多角的な切り口から明確に反論を示す挑戦的な内容です。肯定的な読者からは「日本のルーツや思想を理解するうえで重要」と称えられ、否定的な読者からは「著者の論が強引すぎる」「文章がわかりにくい」という指摘が見られます。
そして、十七条憲法や冠位十二階、法隆寺再建問題をめぐる学問的な議論が、日本の古代史観や思想史そのものにつながるという点で、本書は大きなインパクトを与えていると言えるでしょう。
専門知識が必要になる部分も多いため、本格的に日本史を学んでいる人や、仏教美術や神仏習合などに関心のある人には特におすすめです。一方、純粋にエンターテインメントとして読み流すにはやや重い内容かもしれません。しかし、現在の社会にも通じる「和を以て貴しと為す」精神をあらためて考える契機としては、大いに刺激を与えてくれる一冊となるでしょう。
聖徳太子 本当は何がすごいのか
- なぜ「厩戸王」と呼んではいけないのか。史学界の不在説に対し、美術史をはじめとする多方面の論拠を示し、聖徳太子が実在したことを証明する一冊。
- 十七条憲法や冠位十二階を定め、中国と対等の外交を展開した聖徳太子。その思想と信仰がどのように日本人の基礎を築き、今なお息づくのかを優しく解説する。
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