白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯 (ヤマケイ文庫)
- 「世界遺産・白神山地」で最後の伝承マタギと呼ばれた鈴木忠勝の生涯を追ったルポ。独自の狩猟文化と山村の暮らしを記録し、消えゆく北東北の姿を克明に伝える。
- クマを追い、ブナの森を踏破した“目屋マタギ”のシカリが語る営み。ダムに沈んだ故郷や世界遺産で変化した山人の生活など、消失寸前の文化を鮮やかに描く一冊。
- 本書は、世界遺産として有名な白神山地を舞台に、「最後のマタギ」と呼ばれた鈴木忠勝さんの生涯を追ったルポルタージュです。
- 古くから山と密接に関わり、クマ狩りや漁、生活文化の伝承など、今では失われた貴重なマタギの暮らしぶりが詳細に語られます。
- 2014年に単行本として刊行されて大きな反響があり、改めてヤマケイ文庫として文庫化されました。
- ポジティブな評価では、山と共生する文化や人々の生活がいきいきと描かれている点が高く評価されています。
- 一部で、「著者の価値観が強く出すぎて読みにくい」などの意見もあり、文章の好みが分かれる部分もあるようです。
白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯 (ヤマケイ文庫)について
本書は、白神山地の
壮大な自然とともに歩んだマタギ集団の一員であり、シカリ（リーダー）を務めた鈴木忠勝さんへの聞き書きを中心に構成されています。もともとは2014年に七つ森書館から発行された単行本ですが、より多くの読者に届けるため、ヤマケイ文庫として再編集・文庫化されました。地図や写真の追加によって内容の理解が深まり、白神山地マタギの歴史や文化がさらに鮮明に伝わってきます。
白神山地はブナの原生林で有名ですが、そこを拠点として
山との深い結びつきの中で生活してきたマタギの歴史は、ダム建設や世界遺産化の影響などにより、大きく変遷してきました。本書はそうした変遷の過程を、著者と鈴木忠勝さんの対話の中で丹念に描き出しています。
白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯 (ヤマケイ文庫)のポジティブな意見や口コミについて
- 白神山地の自然環境とそこで暮らしたマタギという、今では珍しいテーマを深く追究している
- クマ狩りや山での暮らしなど、具体的な狩猟文化や山村文化が臨場感たっぷりに語られている
- インタビューの形をとっているため、当時の記憶が鮮明に浮かび上がり歴史的資料としても貴重
特に読者の多くが本書にポジティブな印象を抱いている理由の一つとして、「白神山地」という
風光明媚な世界遺産を舞台としながら、同時に狩猟や漁労、山言葉といった独特の文化を活写している点が挙げられます。山奥で生活を営むマタギたちが、どのような道をたどってクマを追いかけ、イワナを捕り、山の恵みを糧としていたのか。その生々しい語り口に魅了される読者は多いようです。
また、文庫版では巻頭に地図が掲載されており、本文に登場する地名や山の位置関係を見比べながら読み進める楽しみがあることも、高く評価されています。著者が独自に集めた伝承や史料により、白神山地に暮らす人々の
生活のリアリティがより深く描かれており、その丁寧な掘り下げが多くの読者を惹きつけているのです。
白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯 (ヤマケイ文庫)のやばい噂や悪い評判・口コミについて
- 著者の自然観が押し出されすぎている、と感じる人もいる
- 文章がやや冗長で、推敲不足により読みづらいと指摘する意見
- 山と人の関わり方に対する主張が強いため、価値観の合わない読者には響きにくい
大きなトラブルや
不祥事のうわさは特に見あたりませんが、読者のなかには「著者の“うざったい自然観”が強調されすぎているため読みにくい」という声もあります。具体的には、白神山地やマタギの文化に対する著者の思い入れが強いため、事実を冷静に記録するだけでなく、個人的な感想が文章に多く混じっているといった点が挙げられます。
また、「もっとマタギ本人のエピソードだけを知りたかった」「著者の主張を挟まずに、鈴木忠勝という人物像を前面に描いてほしかった」という意見もあり、山岳民俗学的な要素を楽しみたい人にとっては、余分に感じられる部分があるのかもしれません。しかし、あくまでもそうした感想は一部の読者のものであり、多くの人が気になるような重大な問題や
深刻なトラブルが取り沙汰されているわけではありません。
白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯 (ヤマケイ文庫)はどんな人におすすめ？
- 白神山地やブナの原生林、日本の自然環境に興味がある
- 狩猟文化やマタギの暮らしぶりを臨場感ある視点で知りたい
- 東北地方の山村文化や歴史、ダム建設への影響に関心がある
- フィールドワークや民俗学、郷土史の資料を探している
このように、本書は白神山地を中心とした
山村文化の変遷に興味がある方にとっては、多くの発見が得られる一冊となっています。特に、かつての狩猟や山での営みを知りたい人や、自然環境と人間の関わりについて研究・学習したい人にはおすすめできます。一方で、著者の視点や独特の表現に対して合う・合わないがあるため、事実の記録を淡々と読みたいという方には少し読みにくいと感じられるかもしれません。
ただし、クマ狩りや山村生活のエピソードに魅了される人も多く、山や自然をこよなく愛する読者にとっては
十分に読み応えのある作品と言えるでしょう。多角的な視点から綴られた山人の歴史や、白神の森、その中で生きる人々のドラマが詰まっているのが大きな魅力です。
まとめ
「白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯 (ヤマケイ文庫)」は、一人のマタギの人生を軸に、白神山地とそこで営まれてきた生活文化を鮮やかに映し出す作品です。山を縦横に駆け巡り、クマやイワナを捕らえる姿には、現代ではなかなか味わえない臨場感やスリルがあります。
一方、著者の
強い自然観や思いが文章に色濃く表れているため、読む人によっては「もう少し客観性が欲しい」と感じる部分もあるかもしれません。しかし、それが山村をめぐる深い感情や偏愛とも呼べる思いを伝える一助となっており、むしろ物語性を高める役割を果たしているとも言えます。
結果として、“著者の主観”を受け入れつつ、白神山地の文化や歴史に思いをはせたい人には十二分に楽しめる一冊でしょう。批判的な意見もある中で、山村文化の奥深さと、そこに生きてきた人々の声に触れられる貴重な記録として、多くの読者から評価を得ている点は見逃せません。ぜひ興味を持った方は手に取ってみてはいかがでしょうか。
白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯 (ヤマケイ文庫)
- 「世界遺産・白神山地」で最後の伝承マタギと呼ばれた鈴木忠勝の生涯を追ったルポ。独自の狩猟文化と山村の暮らしを記録し、消えゆく北東北の姿を克明に伝える。
- クマを追い、ブナの森を踏破した“目屋マタギ”のシカリが語る営み。ダムに沈んだ故郷や世界遺産で変化した山人の生活など、消失寸前の文化を鮮やかに描く一冊。
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