新世界より(上) (講談社文庫)
- 舞台は1000年後の日本。念動力(サイコキネシス)を操る人々が暮らす神栖66町で、豊かな自然と伝統を守りながら調和を築く日々が描かれる。
- 子どもたちが学ぶ“神の力”の奥義と封じられた過去の文明。本当に守られているのは平和か、それとも秘密か。未知の世界を味わう壮大なファンタジー。
- ストーリーの世界観が独特で、多くの読者を惹きつけている
- 1100年後という遠い未来を舞台にしたSF的ファンタジー要素あり
- 一方で、造語や世界設定が複雑で読みづらいという声も
- 性描写・グロテスクな表現が苦手という読者も一定数存在
- アニメ版を視聴後に原作を読むファンも多く、アニメとの比較評価も
以下では章ごとに要点をまとめます。
- 作品全体:1000年後の日本を舞台にしたSF色の強いファンタジー。
宗教儀式や呪力(念動力)の設定が重要な鍵となっている。 - ポジティブ面:迫力のある描写や緻密な世界観、後半に向けたスリリングな展開が評価されている。
- ネガティブ面:序盤の説明や独特の用語の多さで挫折する人もいる。性描写・グロ系描写への抵抗感など、好みが分かれる面が顕著。
- おすすめ対象:SF要素やディストピア的世界観が好きな人、あるいはアニメ版を楽しんだ読者。逆にライトな読み物や明快なサスペンスを求める人にはやや合わないかもしれない。
「新世界より(上)」について
「新世界より(上)」は、貴志祐介氏による同名長編小説の三分冊のうちの第一巻です。舞台は1000年後の日本で、人類が「呪力(サイコキネシス)」という不思議な力を得た結果、豊かな自然と厳格な管理体制の中で暮らしている社会が描かれます。物語の導入では、12歳の主人公・早季と仲間たちが学校で呪力を学ぶ日常が中心ですが、やがて不穏な事件や謎が次々と浮上していきます。
一見すると牧歌的な学園物に見えながらも、徐々に「管理される世界の秘密」や「人類と外界の摩擦」が明らかになっていく構成が特徴です。
上巻は序盤や設定の説明に多くのページが割かれているため、人によっては多少冗長に感じるかもしれません。しかし、その分だけ後半に向けて深まる謎やサスペンスが生かされ、次巻に手が伸びる仕掛けがしっかり作られているのです。
「新世界より(上)」のポジティブな意見や口コミについて
まず、大いに評価されているのは、作品の独創的な世界観です。1000年後の日本をどう描くかという壮大な挑戦のなかで、念動力が社会や教育制度を一変させたという設定そのものが新鮮だという声があります。
読者の多くが「とても想像力をかき立てられる」「後半で点と点が繋がる快感がある」「世界設定がきちんと練られており、伏線回収も秀逸」と評しており、物語に没入しやすいと感じているようです。
さらに、「キャラクターの心理描写が緻密」「怖さと好奇心を刺激する描写がうまい」といったコメントも多く見受けられます。特にバケネズミという独自の生物の正体や起源に関する考察、そして後の展開で明かされる事実と物語のリンクが、読者を飽きさせない要因になっているとの声も。
また、シリーズ全巻を読み終えてからアニメにも手を伸ばす人が多く、「アニメで描ききれなかった部分を補完できてよかった」「答え合わせ感覚で楽しめる」との意見があり、メディアミックスの相乗効果が評価をさらに底上げしているようです。
「新世界より(上)」のやばい噂や悪い評判・口コミについて
一方で、やばい噂や悪い評判として大きく上がっているのが「序盤のテンポの遅さ」「難解な用語や固有名詞、独特の生物設定」などに起因する「読みにくさ」です。設定が膨大なため、ハリー・ポッターのような学園冒険を期待して手に取った読者が、途中で挫折するケースも少なくありません。
また、性描写やバイオレンス描写に抵抗を感じる人も一定数見受けられます。作中では子ども同士の性的な要素や、化けネズミ同士の残忍な行いが登場するため、「胸が悪くなる」とか「子ども向けかと思ったら違った」といった感想がネガティブレビューとして見られます。これらは世界観をよりリアルに描く手段として組み込まれている反面、苦手意識を持つ読者にとっては大きなハードルになる模様です。
さらに、SFを期待して読む人の中には「呪力がファンタジー的だ」「もっとハードSF要素を掘り下げてほしかった」という声もあります。分類としてSFに含められがちですが、実際はファンタジー要素が強めの物語であるため、そうした方向性に不満を抱く人もいます。
結果的に「序盤でやめてしまった」「上巻の途中で合わないと感じたらもう読む気がなくなった」という読者が一定数いることは事実です。
「新世界より(上)」はどんな人におすすめ?
本作を読むうえでおすすめできる人は、まず「じっくり世界観を味わうタイプの読者」です。設定の細部まで考え抜かれており、文化や宗教体系、心理操作の仕組みなどが克明に描かれる作品が好きな方には、大きな満足感を得られるでしょう。
さらに、ディストピア的な物語が好きな人や、既存のファンタジー・SFシリーズでは物足りなくなった人にも向いているといえます。上巻の最後にかけて物語が動き出すスリル、そして続巻に引き継がれる伏線を楽しみにできるならば、シリーズを通して一気読みしたくなるはずです。
逆に、気軽に読めるライトノベル的なテンポや明快さを求める人、性描写やグロテスクな描写が苦手な人、あるいは単純な能力バトルを期待する人には厳しい面があります。また、序盤の世界観説明や設定構築の段階でテンポがゆっくりなので、最初からアクション満載の展開を欲する方には向かないかもしれません。
まとめ
「新世界より(上)」は、壮大な未来描写と独自の呪力世界観が魅力の一冊ですが、一方で複雑な設定や序盤の展開が合わない読者がいるなど、好みがはっきり分かれる作品でもあります。
ポジティブな意見としては、後半の怒涛の展開や緻密な伏線回収、そして人間の本質を描いた深みのあるストーリー性が高く評価されています。逆に、やばい噂・悪い評判としては、理解が難しい世界観・強めの性描写やグロ描写などに拒否感を持つ声も散見されます。
とはいえ、一度世界観にハマれば続巻やアニメ版も楽しめるため、重厚なSFファンタジーに興味のある方にとっては挑戦する価値のある作品といえるでしょう。もし読み始めた際に合わないと感じても、少なくとも上巻後半まで読んでみると、この作品特有の面白さが現れてくるかもしれません。読後には複雑なテーマと見事なストーリーテリングに深く考えさせられる、そんな印象を与えてくれる一作です。
新世界より(上) (講談社文庫)
- 舞台は1000年後の日本。念動力(サイコキネシス)を操る人々が暮らす神栖66町で、豊かな自然と伝統を守りながら調和を築く日々が描かれる。
- 子どもたちが学ぶ“神の力”の奥義と封じられた過去の文明。本当に守られているのは平和か、それとも秘密か。未知の世界を味わう壮大なファンタジー。
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