ハサミ男 (講談社文庫)
- 美少女を狙う“ハサミ男”が、新たな殺人計画の最中に、自分の手口を模した死体を発見。第三の犯人の存在に気づき、なぜ彼女を殺す必要があったのかを追い求める。
- 衝撃の謎を解く主人公の視点と、予測不能な展開が見事に絡み合う。2005年公開映画の原作でもある精緻な長編ミステリの傑作。
- 本作は、猟奇殺人犯「ハサミ男」と名乗る人物が描かれた長編ミステリ小説。
- 物語が進むほどに、読者の思い込みを逆手に取る叙述トリックが話題に。
- ポジティブな評価の多くは「どんでん返し」「巧妙な仕掛け」「何度も読み返したくなる」など。
- 一方「誰の視点か分かりづらい」「多重人格設定などがアンフェア」という意見も見られる。
- 女性蔑視や粗暴な描写に抵抗を感じる読者もいるため、好みが分かれやすい作品。
ハサミ男 (講談社文庫)について
- 作品概要：連続殺人犯としての「ハサミ男」が、なぜか他の人間に模倣されてしまう事件を捜査
- 出版：講談社文庫
- 映画化もされており、その原作として注目度の高いミステリ
「ハサミ男 (講談社文庫)」は、美少女ばかりを狙うシリアルキラー「ハサミ男」が本来3番目の犠牲者と決めていたはずの女性を、誰かに先んじて殺されたことを発端とする物語です。猟奇性を帯びた殺人と、それを捜査する刑事や「ハサミ男」自身の視点が交錯することで、読者は事件の真相ありきではなく“誰が何をやっているのか”を推理しながら読み進める独特の体験を味わいます。
著者・殊能将之氏の作風として、心理学や精神医学を匂わせつつも簡単には真相に辿りつかない、複雑な仕掛けが施されています。途中でガラリと視点が入れ替わる部分があるため、読者は油断できないまま最後まで巻き込まれていきます。これをいわゆる「叙述トリック」として高く評価する声が多い反面、当時とは時代の違いもあり、作中でみられる人物評価のしかた（外見や体型の描写など）が古風に映るとの声もあります。
ハサミ男 (講談社文庫)のポジティブな意見や口コミについて
- 「騙された」「完全に予想外の展開」といった驚きの声
- 叙述トリック作品としての完成度に感心する意見
- 読み返すことで再発見がある、といった評価
ポジティブな意見の多くは「本当に騙された」「メインの仕掛けが見事すぎる」といった叙述トリックを高く評価する感想です。結末に至るまで主人公の“正体”や“視点”が巧みにぼかされており、最終的な真犯人や事件の全貌を知ったあとに再読すると、冒頭から貼られた伏線の巧妙さに驚かされるという口コミが目立ちます。
また、二重人格が示唆されるシーンや、物語全体で美少女殺人の動機を探っていく過程などが「意外に論理的で隙がない」「読んだあとに再度考察しても整合性を失わない」といった声も。特に、スクラップを見直したりキーワード検索をすることで理解を深められる点は、電子書籍ならではの楽しみ方ともいわれています。
登場人物の心理描写も高く評価されています。殺人を繰り返そうとする自分自身に苦悩する「ハサミ男」や、独特の観点で捜査を進める磯部刑事、さらには時折登場する精神医学的なキャラクターなどが物語を立体的にしている、とのコメントが多いです。「何度読んでも面白い本の一冊」「深読みすればするほど新しい発見がある」と、作品全体を讃える読者が多いのが特徴です。
ハサミ男 (講談社文庫)のやばい噂や悪い評判・口コミについて
- 誰が誰の視点か分かりづらくストーリーを追いにくい、という不満
- 作中の女性蔑視やルッキズムなど、1990年代らしい表現に抵抗があるという意見
- 叙述トリックのためのアンフェアな描写が多いとの批判
一方、悪い評判・噂として挙がるのは「意図的なミスリードが強引すぎて、ストーリーの筋がよく分からなくなってしまう」との指摘です。多重人格を突きつけられることで読者の混乱を誘うものの、実際にはまだ別の仕掛けもあって「最終的に何がどうなったのか説明不足」と感じる読者もいます。とくに後半では、とある医師や被害者周辺の人物が次々に登場し、誰がどこで何をしているのか頭に入りづらいという声が見受けられます。
また、本作が初版で出版された時代に比べ、現代ではミステリにおける“意外性”の手法が多数登場しているため、「そこまで驚けなかった」「序盤でなんとなく見破ってしまった」という読者も少なくありません。叙述トリック作品は、やはり書き手と読み手の知識や推理の駆け引きが重要ですが、「この作品は読者を騙すためにフェアではない表現がある」「ミスリードを誘導する記述が不自然」と感じる人にとっては、評価が厳しくなるのも無理はないでしょう。
さらに、女性への言及がやや差別的である、との声も散見されます。登場人物が美人を特別扱いする、体型を攻撃的に表現するなど、当時の時代背景を踏まえても違和感があるという意見があり、人によっては内容以前に不快感を覚える可能性があります。こうした点は「ハサミ男」の猟奇性・残虐性を強調する手法のひとつとも取れますが、気になる人は注意が必要かもしれません。
ハサミ男 (講談社文庫)はどんな人におすすめ？
- 叙述トリックやどんでん返しが好きな読者
- 多少のグロテスクな描写や残虐性に抵抗がない人
- 古い時代のミステリ表現も受け入れられる読者
「ハサミ男 (講談社文庫)」は、叙述トリックに抵抗がなく、多少入り組んだ構成を楽しめる読者に向いていると言えます。特に、大きなどんでん返しのある小説や、読後に「あれ？ これはどういうことだったのか？」と何度も考察したくなる作品が好きな人にとっては魅力的な一冊です。
一方で、淡々とした推理ものや、殺人をあくまで論理的・科学的に解明していくような作品を好む読者にとっては、人物の入り乱れや主人公の自問自答が煩わしく感じられるかもしれません。さらには、猟奇殺人という題材ゆえ、暴力的なシーンや性的なニュアンスの含まれる表現が苦手な人は注意が必要です。また、物語の結末が明るい“大団円”ではなく、気分の晴れないラストになっているため、後味を重視する方にもやや向かないかもしれません。
まとめ
「ハサミ男 (講談社文庫)」は、猟奇殺人を題材にしたサスペンス・ミステリであり、巧妙な叙述トリックによって多くの読者を驚かせてきました。何度も読み返したくなるほど巧妙な伏線やキャラクターの心理描写を楽しむ声がある一方、ミスリードや女性蔑視表現に対する批判、不自然な展開やアンフェアと感じる演出も取り沙汰されています。
結果として、強引でも良いからスリリングに物語を読みたい、そして騙される感覚を存分に味わいたい人にはオススメです。逆に、フェアプレイな推理を好む方や、登場人物たちの突飛な言動に依存しないロジカルな作品を求める方には合わない可能性があります。いずれにせよ、刊行から時間が経ってもなお話題に上る作品であることに間違いはなく、叙述トリック好きなら一度は手に取ってみても損はないでしょう。
以上を踏まえ、現代の目で見ると“やばい噂”や“悪い評判”につながる点はあるものの、全体としては独自の魅力をもつ作品であると言えます。興味のある方はぜひ自分の目で、そのトリックと謎解きに挑んでみてはいかがでしょうか。
ハサミ男 (講談社文庫)
- 美少女を狙う“ハサミ男”が、新たな殺人計画の最中に、自分の手口を模した死体を発見。第三の犯人の存在に気づき、なぜ彼女を殺す必要があったのかを追い求める。
- 衝撃の謎を解く主人公の視点と、予測不能な展開が見事に絡み合う。2005年公開映画の原作でもある精緻な長編ミステリの傑作。
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